大阪府寝屋川市の田中司法書士事務所では、相続、遺言、不動産登記、会社設立登記、成年後見などの業務を行っており、経験豊富な司法書士が法律相談を承っております。

自己破産

自己破産について(メリット・デメリット等)

1.自己破産、破産手続き

質問
自己破産、破産手続きとはどのようなことですか?

答え
自己破産とは、債務者の収入・財産によって借金を返済することが著しく困難であることを裁判所に認めてもらい、法的に借金の返済義務を免除してもらう手続です。
個人破産手続きは、経済的破綻に陥った債務者の再出発を支援するための手続きです。

破産法(目的)
1条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

2.自己破産のメリット・デメリット

質問
自己破産をすると、どんなメリットがありますか?

答え
自己破産のメリットは、自己破産手続き廃止及び免責許可決定により、特別な債務を除いて、法的に借金返済の義務がなくなる点です。
そのため、自己破産は今後の生活を立て直す上で最も経済的に有利な債務整理の方法だといえます。

質問
自己破産にはどんなデメリットがありますか?

答え
①自己破産の一番のデメリットは、自己所有の高価な財産が処分されるという点です。
ここでいう高価な財産とは、99万円を超える現金及び時価20万円を超える財産をいいます。
なお、差し押さえ禁止財産(衣類、寝具、家具等)については処分されませんので、自己破産をしてもこれまでと同様に自由に管理、処分できます。
②自己破産の手続の期間中(短ければ数ヶ月程度)に限って一定の職種に就くことが制限されるというデメリットがあります(これを資格制限といいます)。
この資格が制限されている期間は破産手続きが開始されてから、復権を得るまでの期間です。
もっとも、破産手続きの開始から、破産手続き廃止、いわゆる破産手続きの同時廃止となれば、現にその職業についている人は、破産手続きの申し立てを行った時に一度制限がある職業から退かなければなりませんが、その後は資格制限がありません。

制限される職種としては、弁護士・税理士等の士業、宅地建物取引主任者、旅行業務取扱管理者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、貸金業者、建設業者等があります。
なお、医師や教員、特別な職を除く国家・地方公務員は自己破産をしても制限されません。

破産法(復権)
第255条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。
次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。

一 免責許可の決定が確定したとき。

二 第218条第1項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。

三 再生計画認可の決定が確定したとき。

四 破産者が、破産手続開始の決定後、第265条の罪について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したとき。

2 前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。

3 免責取消しの決定又は再生計画取消しの決定が確定したときは、第一項第一号又は第三号の規定による復権は、将来に向かってその効力を失う。

3.自己破産ができる基準はありますか?

質問
自己破産を選択できるのはどのような場合ですか?

答え
自己破産を選択するためには、「支払不能」であることが法律上要件とされています。
「支払不能」とは、債務者が支払い能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態です。
簡単に申しますと、現在の収入・財産によっては、借金を返済することが著しく困難である状況を指します。

質問
借金が90万円くらいなのですが、自己破産をすることができますか?

答え
自己破産をするには、「支払不能」であることが法律上要件とされています。
「支払不能」かどうかは、各人の借入総額と収入・財産との関係で判断されます。
アルバイトしかしていなかったり、長い間失業している場合で収入がなく、財産もないような場合には、借金が90万円であっても「支払不能」と判断される場合もあります。

4.免責について

質問
自己破産をすると債権者へ返済する必要がなくなるのですか?

答え
自己破産、免責許可決定がされると原則として全ての借金が法的に支払いの義務がなくなりますので、免責許可決定が確定した後は債権者へ返済する必要はありません。
ただし、例外的に免責されない債務(非免責債務等)もあります。
非免責債務
(1)税金等の公租公課の請求権
(2)悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
(3)故意または重過失により加えた人の生命、身体に対する不法行為に基づく損害賠償請求権
(4)養育費や扶養義務に関する請求権
(5)雇用関係に基づく使用者請求権
(6)債権者名簿に記載しなかった請求権
(5)罰金、科料等 の請求権

質問
免責が認められない場合がありますか?

答え
自己破産を申し立てると、一部の債務を除いて借金の支払い義務が法的に免除されます。
しかし、免責が認められない債務もあります。
いわゆる免責不許可事由に該当する債務のことです。
免責不許可事由
①詐欺破産罪該当行為 ②不利益条件での債務負担等 ③義務なき担保供与等
④浪費、賭博 ⑤詐術取引 ⑥帳簿隠滅偽造等
⑦虚偽債権者名簿提出等 ⑧破産法上の義務違反等

質問
ギャンブルや浪費による借入がありますが、免責は認められませんか?

答え
ギャンブルや浪費等の免責不許可事由がある場合でも、破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認められる時は、免責許可決定をすることができます。
これを裁量免責といいます。
裁量免責は裁判所の判断によります。

質問
携帯電話の通話料金も免責されますか?

答え
免責が認められると、非免責債権を除いて原則として全ての債務の支払い義務が法的になくなります。
そのため破産債権に計上していれば、滞納している携帯電話の通話料金も免責されます。

5.職業等の資格制限について

質問
私は公務員ですが、自己破産をすると退職しなければなりませんか?

答え
破産手続開始決定によって、手続中(短ければ数か月程度)に一定の職種に就くことができない、いわゆる資格制限があります。
しかし、資格制限を受けるのは、破産手続開始決定を受けてから復権を得るまでです。
士業や貸金業者、保険募集人や警備員などの職種については、資格制限を受けます。
しかし、公務員については、国家公務員、地方公務員ともに、公安委員会委員のような特殊な職を除き、自己破産による資格制限はありません。
学校の教員についても同じです。
したがって、通常は自己破産をしても公務員を辞める必要はないと思われます。

質問
保険の代理店を経営していますが、自己破産をすると廃業しなければなりませんか?

答え
破産手続開始決定によって、手続中(短ければ数か月程度)に一定の職種に就くことができない、いわゆる資格制限があります。
しかし、資格制限を受けるのは、破産手続開始決定を受けてから復権を得るまでです。
保険募集人は破産手続開始決定による資格制限の職種となっており、自己破産の申し立てをした場合、自己破産の手続中は保険募集人として営業をすることが制限されます。

質問
会社で取締役をしていますが、自己破産をすると辞任しなければならないですか?

答え
会社法上は破産手続開始決定を受けてから、復権を得るまでの間であっても取締役になることができます。
しかし、会社と取締役とは委任関係ですから、民法で自己破産が委任契約の終了事由として規定されていますので、自己破産の申し立てをすると、当然に取締役は退任となります。

自己破産手続の概略

1.自己破産の手続

質問
自己破産には、どのような手続がありますか?

答え
自己破産の手続には、同時廃止手続と管財手続の2つの手続があります。
同時廃止手続とは、自己破産をされる方に高価な財産がない場合であって、かつ免責不許可事由がない場合等に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了するという簡単な手続です。
裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければなりません。
管財手続とは、自己破産をされる方に高価な財産がある場合や免責不許可事由がある場合等に、裁判所から破産管財人が選任され、財産や免責不許可事由の有無を調査する手続です。

2.自己破産手続中の制限

質問
自己破産をすると、海外旅行や海外出張はできなくなるのですか?

答え
転居や長期の旅行により、住所地を離れるには裁判所の許可が必要です。
これは、債権者集会への出頭や破産管財人に対する説明義務をいつでも行えるようにするための自由の制限です。
従って、海外旅行については制限される場合があります。
しかし、同時廃止手続の場合や免責許可決定が確定して手続が終了した後は、そのような制限がありませんので海外旅行をすることは自由です。

質問
自己破産をした場合、転居はできますか?

答え
管財手続の場合には、その手続の期間中は居住地を変更するには裁判所の許可が必要です。
特段の問題がなければ裁判所の許可はもらえるものと思われます。
しかし、破産手続開始、同時廃止の場合には、このような制限はありませんので、転居することは自由です。

質問
自己破産の手続中の義務、日常生活で制限されることはありますか?

答え
破産者は、破産手続きに協力しなければならない義務があります。
破産管財人等に対する説明義務を負い、転居等及び通信の秘密の制限を受けます。
また、財産の隠匿、説明義務違反、帳簿類の隠匿、虚偽説明をした場合は懲役もしくは罰金等の刑に処せられます。
但し破産手続開始、同時廃止の場合には制限はありません。
管財手続の場合には制限を受けますが、免責許可決定が確定した後つまり復権後はなくなります。
いずれの場合でも、選挙権の制限は全くありません。

自己破産の影響

1.内緒で自己破産

質問
自己破産をしたことが勤務先や家族や友人に知られてしまいますか?

答え
破産手続開始決定は官報によって公告されます。
官報には、破産手続が開始されたこと等、氏名・住所が記載されます。
しかし、一般の方が官報公告を見ることは通常ありませんから自己破産したことが家族や友人に知られることはほとんどないと思われます。
勤務先からの借入金がある等、勤務先が債権者でない場合は、裁判所や管財人から通知を送ったり、連絡をとることはないと思われますので、勤務先にも知られることはないと思われます。

質問
会社に知られると退職しなければなりませんか?

答え
会社は社員が自己破産をしたことを理由に解雇することはできません。
社員が自己破産をしたことのみでは解雇理由に当たらないとされていますから、自己破産をしただけでは退職する必要はありません。

質問
勤務先からの借入金があります。

答え
勤務先も債権者として裁判所に提出しなければなりませんか?
自己破産の場合には、原則として債権者を平等に扱うという債権者平等の原則が徹底されていますので、勤務先からの借入金がある場合には、勤務先を債権者として裁判所へ提出する必要があります。

質問
勤務先を債権者として申告した場合、勤務先に自己破産をしたことが知られてしまいますか?

答え
裁判所は全債権者に対し、あなたの自己破産について異議があれば述べるように通知を出します。
会社が債権者であるならば、会社は裁判所からの通知によりあなたの自己破産の事実を知ることになります。

質問
自己破産をすると、戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されますか?

答え
破産手続開始決定は官報によって公告されます。
官報には、破産手続が開始されたこと等、氏名・住所が記載されます。
しかし、戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることはありません

2.家族への影響

質問
自己破産をすると、借金は代わりに家族が返済しなければならないのですか?

答え
自己破産をしても、家族が(連帯)保証等をしていない限り、家族が代わって返済する必要はありません。

質問
自己破産をすると、家族も借入やローンを組むことができなくなりますか?

答え
自己破産に対する効果は原則として申し立てた本人にのみ帰属します。
そのため、自己破産をしても、家族は借入やローンを組むことは原則として問題ありません。

質問
自己破産をすると、家族の財産は処分されてしまいますか?

答え
自己破産をしても、家族の財産は処分されません。
ただし、本人の財産かどうかは単に名義だけにとどまらず実質的に判断されますので、家族名義の財産であっても実質的にみて本人の財産だと判断されると処分の対象となる場合もあります。

質問
自己破産をすると、家族名義の預金は処分されてしまいますか?

答え
自己破産をしても、原則として家族名義の預金は処分されません。
ただし、本人の財産かどうかは単に名義だけにとどまらず実質的に判断されますので、家族名義の預金であっても実質的にみて本人の預金だと判断されると処分の対象となる場合もあります。

質問
自己破産をすると、子供の学資保険は解約しなければなりませんか?

答え
本人の財産かどうかは単に名義だけにとどまらず実質的に判断されます。
子供は通常の場合、自ら学資保険を積み立てることができませんので、実質的にみて本人の財産であると判断される可能性が高いといえます。
ただし、処分されるのは学資保険の解約返戻金が20万円を超える場合であり、20万円以下の場合には学資保険を解約する必要はないと思われます。
また、20万円を超える場合であっても、自由財産拡張の裁判制度がありますので、場合によっては、解約しなくてすむ場合もあります。
これは、破産者の個別の事情に応じた経済生活の再生を図ることを可能にするための制度で、よく問題になるのは、生命保険の解約返戻金、退職金債権、自動車などがあります。

質問
自己破産をするならば、迷惑が掛からないように離婚をしたほうがいいですか?

答え
自己破産に対する効果は原則として本人にのみ帰属します。
そのため、配偶者が(連帯)保証人等になっていなければ、原則として自己破産の効果が配偶者へ帰属することはありませんので、自己破産をしても離婚をする必要はありません。

3.保証人への影響

質問
自己破産をすると、保証人が請求されますか?

答え
保証人制度は、本人(主債務者)が支払えなくなった場合に保証人へ請求するための制度です。
自己破産をすると、本人は債権者へ返済することが原則として禁止されますので、債権者は保証人の方へ請求をすることになります。

質問
免責されると、保証人の債務もなくなるのですか?

答え
保証債務は、破産者の債務とは別個のもので、債権者から保証人への請求は保証債務履行請求権に基づくものです。
本人が自己破産をして法的に返済義務がなくなっても、保証人の債務はなくなりません。
そして、保証人が返済した場合は、破産者に対して求償権を取得する事になりますが、この債権はもともと破産債権なので、直接請求はできません。

質問
保証人が一括で返済できない場合、分割で返済することはできますか?

答え
金額が高額であれば保証人は一括で返済することができない場合が多くなります。
保証人が一括で返済できない場合には、保証人と債権者の交渉により返済契約をしてもらうしか方法はありません。
もし、保証人も資力が乏しければ、保証人自身も任意整理をするか、破産申し立て等を考えなければなりません。

自己破産の財産への影響

1.財産の処分について

質問
自己破産をすると、全ての財産が処分されてしまいますか?

答え
自己破産をすると、99万円を超える現金と時価20万円を超える財産については原則として処分されてしまいます。
差押禁止財産は自由財産として、破産者が自由に管理処分できます。

質問
両親が自分名義で積み立ててくれた預金はどうなりますか?

答え
自己破産をした場合に処分される財産の範囲は、原則として破産者本人の財産に限られます。
ただし、本人の財産かどうかは、単にその名義だけではなく、実質的に誰の財産か判断されます。
両親が本人名義で積み立てた預金といっても、実質的に本人の財産と判断される場合には、処分の対象となる場合があります。

質問
クレジットで購入して、ローンが残っている商品は処分されてしまいますか?

答え
商品のローンが残っている場合、クレジット会社との間の契約に基づき、その商品の所有権がクレジット会社に留保されているのが通常です。
これを所有権留保といいますが、クレジット会社は、この所有権に基づき商品を引き揚げる権利がありますので、自己破産をするとローン残額を少しでも回収するため、商品を引き揚げてしまいます。
ただし、既に価値がなくなっているような商品の場合は引き揚げない場合もあります。

質問
自己破産をした後に得た収入や財産も処分されてしまいますか?

答え
自己破産をして免責決定が確定し、復権した後に得た収入や財産は原則として自由に管理処分することができます。
そのため、自己破産をした後に得た収入や財産は処分されません。

2.自動車について

質問
自己破産をすると、自動車は処分されてしまうのですか?

答え
自動車ローンが残っていない場合には、自動車の時価が20万円超である場合に限り原則として自動車は処分されてしまうことになります。
時価が20万円以下であれば、破産管財人は、換価価値なきものとして扱ってくれると思います。
自動車ローンが残っている場合には、ローン会社との契約によりローンを完済するまでの間、自動車の所有権がローン会社に留保されていることが通常です。
いわゆる所有権留保されている場合には自動車はローン会社にその所有権に基づき引き揚げられてしまうのが原則です。

質問
自分がローンをこれまでどおり支払っていく代わりに、自動車を維持することが可能ですか?

答え
自動車ローンが残っている場合には、所有権留保がされているのが通常であり、原則として自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。
たとえ引き揚げられなくても、自己破産手続が開始された後は、一部の債権者のみに返済することは法律上禁止されているため、本人が自動車ローンのみをこれまで通りに支払っていくことはできません。

質問
生活をする上でどうしても自動車が必要なのですが、自動車を維持するにはどうすればよいでしょうか?

答え
自動車ローンが残っている場合は、ローン会社に所有権が留保されているため、原則として自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。
ローンは完済していても、自動車の時価が20万円を超える場合には、換価処分されることになります。
例外的に自動車を維持する方法としては、以下の3つが考えられます。
①本人以外の第三者の方が本人の代わりに自動車ローンの支払いを継続して、自動車を維持する方法。
②第三者の方に自動車を買い取ってもらい、その方から自動車を借りるという方法により、自動車を利用する方法。
③自動車が生活上不可欠であることを裁判所に説明し、自動車の維持を認めてもらう方法です。
自由財産の拡張の裁判ですが、自動車ローンが残っている場合はこの方法をとることはできません。
①及び②の場合には、ローン会社の同意が必要となり、協力してくれる第三者の存在も必要です。
第三者が親や兄弟等であれば後々問題も起こりにくいと思われます。

質問
自動車を処分し、自動車ローンの支払いに当てたところ、さらに30万円が手元に戻ってきたのですが、この現金は処分されてしまいますか?

答え
自動車を処分して戻ってきた分も含めた現金が99万円以下であれば維持することは可能かと思われます。

質問
自動車を処分する場合、自動車税は支払わなければなりませんか?

答え
公租公課については自己破産をしても免責の対象とはなりませんので、自動車税の支払義務は残ることになります。

3.住宅について

質問
住宅を所有しているのですが、自己破産をすると住宅は処分されてしまうのですか?

答え
住宅ローンが残っている場合には、原則として住宅ローン会社に住宅を処分・換価されてしまいます。
住宅ローンが残っていない場合でも、住宅は高価な財産ですので処分の対象となってしまいます。
これらの場合に住宅を維持するには、住宅を第三者の方に時価で買い取ってもらい、その方から借りるという方法があります。

質問
住宅はどのような方法で処分されるのですか?

答え
住宅を処分する方法としては、(1)競売と(2)任意売却という2つの方法があります。
(1)競売とは裁判所が売却手続を行う方法です。
(2)任意売却とは抵当権者等その住宅に対して優先的に債権を有している債権者の同意を得て、所有者が不動産業者等に依頼して売却してもらうという方法です。

質問
住宅を所有している場合には、管財手続となってしまうのですか?

答え
管財手続になるのは高価な財産を所有している場合ですので、住宅を所有したまま自己破産を申し立てると、通常は管財手続となります。
同時廃止手続にするためには、自己破産を申し立てる前に競売や任意売却によって先行して住宅を処分し、住宅を所有していない状態で自己破産を申し立てる必要があります。

質問
住宅が家族と共有となっているのですが、その場合にも住宅は処分されてしまうのでしょうか?

答え
住宅を家族と共有している場合でも、その共有持分は本人の財産ですので、原則として共有持分を処分されてしまいます。
共有持分が第三者へ売却された場合には、家族とその第三者との共有になってしまいますので、住宅を家族名義で維持したい場合には、共有持分を家族に買い取ってもらうことが必要となります。

質問
住宅を処分する場合、滞納している固定資産税は支払う必要がありますか?

答え
公租公課については自己破産をしても免責の対象とはなりませんので、固定資産税の支払義務は残ることになります。

4.生命保険について

質問
自己破産をすると、生命保険は解約しなければなりませんか?

答え
積立型の生命保険の場合、解約する際にこれまで積み立てた掛け金の一部が解約返戻金として返金されるときがあり、この解約返戻金も本人の財産と判断されます。
20万円を超える解約返戻金は処分の対象になりますので、解約返戻金が20万円を超える場合には、原則として解約しなければなりません。

質問
20万円を超える解約返戻金があるのですが、維持する方法はありませんか?

答え
解約返戻金が20万円を超える場合には、原則として生命保険を解約しなければなりません。

質問
自己破産の手続中も、生命保険の掛け金を支払うことは可能ですか?

答え
生命保険は、自分に万が一のことが起きた場合の備えですので、相当額の負担であれば、生活に必要な費用と認められています。
従って、自己破産の手続中であっても、生命保険の掛け金を支払うことが可能です。

質問
親が自分に自分名義の生命保険を掛けているのですが、この保険はどうなりますか?

答え
解約返戻金が20万円を超える場合、その解約返戻金が本人の財産であると判断される場合には原則解約する必要があります。
本人の財産かどうかは、単にその名義だけではなく実質的に本人の財産と認められるかどうかで判断されます。
ご両親が本人名義で積み立てた生命保険といっても、その解約返戻金が実質的に本人の財産と判断される場合には、解約する必要があります。

5.携帯電話について

質問
携帯電話の通話料金も免責されますか?

答え
免責許可決定が確定すると、税金等の一部の債務を除いて原則として全ての借金の返済義務が法的に免除されます。
そのため、滞納している携帯電話の通話料金も免責されます。

6.退職金について

質問
申立前に退職して退職金が支払われたのですが、そのお金は処分されてしまいますか?

答え
退職金も本人の財産であることに変わりはありませんので、すでに支払われた退職金で現在残っている金額が99万円を超える場合には、その超える金額は破産財団に組み込まれ、債権者への配当原資となります。

質問
現在会社に勤務しているのですが退職金見込額が多額の場合、どうなるのですか?

答え
退職金は、勤務期間に応じて金額が決定されるものですので、賃金の後払い的性格をもつといわれています。
そして、自己破産の申立前の原因に基づく財産は処分の対象となりますので、退職していない場合であっても、退職金見込額は本人の財産と判断されます。
しかし、将来退職金を受け取れるかどうかは現時点では不明ですので、退職金支給見込額の8分の1の金額が20万円を超える場合には、退職金支給見込額の8分の1相当額を支払わなければならないとされています。

質問
破産手続中も勤務を継続する場合、退職金はどうなりますか?

答え
退職金支給見込額の8分の1の金額が20万円を超える場合には、退職金支給見込額の8分の1相当額を支払う必要があります。
勤務を継続する場合には、破産手続中の収入から積み立てをして、退職金支給見込額の8分の1相当額の金額を支払うことになります。

質問
高額な退職金がある場合、会社を退職しなければなりませんか?

答え
実際に退職金の支給を受ける方法により配当原資を捻出する場合は、退職する必要があります。
しかし、実際に退職をしなくても、退職金支給見込額の8分の1相当額を破産手続中の収入から積み立てて支払う、退職金を担保として借入をして支払う、または会社に退職金債権を買い取ってもらい、その代金で支払う等の方法を採ることにより、会社を退職せずに手続をすすめることが可能です。

7.賃貸住宅について

質問
自己破産をした場合、今住んでいる賃貸住宅から立ち退く必要がありますか?

答え
自己破産をしても賃貸住宅から出て行く必要はありません。
住宅は生活の重要な基盤であることから、自己破産をしても貸主は賃貸借契約を解除することができません。

質問
住み続ける場合、滞納している賃料を支払っても構いませんか?

答え
平成17年の法改正により、自己破産をしても賃貸住宅に住み続けることができるようになりました。
しかし、何ヶ月も賃料を滞納している場合には、賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除されてしまう恐れがあることに変わりありません。
また、住宅は生活の重要な基盤であり、賃料は生活する上で必要不可欠な出費と認められています。
したがって、自己破産の手続中であっても賃料を支払うことは問題ありません。

質問
滞納している賃料も免責されるのですか?

答え
免責が認められると、税金等の一部の債務を除いて原則として全ての借金が法的に支払い義務がなくなります。
したがって、滞納している賃料も破産債権として計上していれば免責されます。

8.自己破産後の生活

質問
自己破産をすると、その後一切借入はできなくなるのですか?

答え
自己破産に限らず、債務整理をすると信用情報機関の保有する個人情報に情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。
金融機関は融資をするかしないかの決定をする際、信用情報機関の個人情報を調査するため、事故情報が登録されている間は通常借入はできません。
ただし、事故情報が登録されている期間は7年程度といわれていますので、その期間が経過して事故情報の登録が削除された後は借入ができるようになります。

質問
自己破産をすると、自動車や住宅を購入できなくなるのですか?

答え
免責許可決定を受けて、復権した後に得た収入・財産は自由に使えますので、復権後に自動車や住宅を購入することは可能です。
ただし、信用情報機関に事故情報が登録されているでしょうから、ローンを組んで購入することは困難なように思われます。
しかし、その事故情報が期間の経過により削除された後は問題がないように思われますので、ローンを組むことも可能かと思います。

質問
家族や友人からの借金は返済できますか?

答え
自己破産の手続では、債権者平等の原則が強く要請されるため、原則として一部の債権者のみ有利な返済(これを偏頗弁済といいます)は法律上禁止されています。
偏頗弁済をした場合、免責が不許可になったり、場合によっては刑罰が科される可能性もあります。
ですから、たとえ家族や友人からの借金であっても返済することはできません。

9.再度の自己破産について

質問
以前に自己破産をしたのですが、もう一度自己破産をすることができますか?

答え
免責の不許可事由として「免責許可決定の確定した日から7年以内」は再度の免責許可決定は原則としてできない旨を定めています。
そのため、以前に自己破産の申し立てを行い、免責許可決定が確定した日から7年以内に再度自己破産を申し立てても、原則として免責は認められません。

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