先日”抵当権の抹消をして下さい”とすごく軽いノリで言われましたので,銀行からもらった書類とご印鑑を持って事務所まで来てくださいとすごく軽く伝えました。

後日,書類を持ってきてくれましたので,ここに署名して下さいと軽く伝えて,”抵当権解除証書”の内容を確認しますと,”〇年〇月〇日弁済により解除しました。”との記載です。少し考えていますと,「どうかしましたか?」と聞かれましたので「どうもしません。」と,軽く答えておきました。

もうお気付きだとは思いますが,”弁済”という原因も”解除”という原因も抵当権の抹消原因にあるのですが,債務の弁済により抵当権設定契約を解除して抵当権を抹消する?債務が弁済された時点で債権の附従性により,抵当権は消滅するので,抵当権の設定契約を解除する余地はないように思われます。従って今回の抵当権抹消登記の登記原因は”弁済”ということになります。抵当権が消滅した直接の原因は”弁済”であり,”解除”ではないからです。

最近ではあまり見かけませんが,よく似た事案で”〇年〇月〇日弁済により主債務は消滅しました。”という記載です。抵当権が設定された登記原因が”〇年〇月〇日保証委託契約による求償債権〇年〇月〇日設定”となっていましたので,この場合の抵当権抹消の登記原因は”〇年〇月〇日主債務消滅”です。抵当権設定の登記原因が”〇年〇月〇日金銭消費貸借”であれば弁済でしょうが,保証委託契約で債務を弁済したから抵当権抹消ということは通常あまり考えにくいです。もっとも,保証人が保証契約を履行して,債務者に求償権を行使して債務者が”弁済”して抵当権抹消ということもあり得ますが・・・

抵当権の抹消もいろいろですね。