先日,不動産登記について,相談を受けました。

相談内容は,”相続によって,Aさん(被相続人の長男)名義の登記をしたが,Bさん(被相続人の長女)の名前に錯誤を原因として名義を替えてほしい。”という内容でした。

相談の内容確認の段階で,”錯誤を原因として名義人を替えてほしい。”という言葉が出てきたので,不動産登記についてよく勉強しているのか,それとも,良く知っている人にこのように言うように言われたのかなぁと思いました。通常は錯誤を原因としてなんて言わないと思います。よくよく話を聞くと,どうも税務上の問題があって名義人を変えたいようで,税理士さんから相談するように言われたようでした。

因みに,XさんからAさんへの所有権移転登記がなされた後,錯誤を原因としてAさん名義をBさん名義に替える更正登記はする事は出来ません。そこにはには登記に同一性が無いからです。

XさんからAさんへの所有権移転登記がなされたが,実は持分2分の1しか取得していなかった場合には,所有権移転登記を所有権の一部移転登記に更正する登記は出来ます。

Xさんから持分2分の1Aさん,持分2分の1Bさんと所有権移転登記がなされたが,持分3分の2Aさん,持分3分の1Bさんとする更正登記もすることができます。

所有権移転登記の登記原因を贈与から売買に更正する,更正登記もすることができます。

一口に更正登記と言ってもいろいろあります。更正の内容によって,登記権利者,登記義務者が誰になるのか判断しなければなりません。